育種家のローザ女史と出会った人たちは皆、彼女のバラに対する並々ならぬ情熱に驚くことからはじまります。彼女は、 彼女の人生の大半を捧げているバラの他に、自分を幸せな気持ちにさせてくれるものはそう多くはないと思っています。それは、つまり、彼女は幼少期に バラの虜になってから、今でも強く魅せられている証拠です。
若い頃の彼女は、ここまで園芸業界に深く関わるようになるとは考えてもいなかったと述懐しています。彼女の父親は郵便局員で、イタリア系の母親は専業主婦の普通の一般家庭でした。 しかし、彼女は10代の頃、独自の生き方を模索するようになります。放課後は、ナーセリーでアルバイトをしながら、 花に対する好奇心を育みつつ、大学を卒業する頃には、花に身を捧げることを決心していました。
最初の勤め先において、後に伴侶としてだけでなく、共同経営者ともなるハーレー・エスケルンド氏と出会い、自分たちでナーセリーを持つという共通の夢を温め、 1988年には、ようやく、デンマークのサブラオにてローズフォーエバー社を設立するに至りました。しかし、当初は順風満帆といえず、他の育種家の品種をライセンス栽 培しておりましたが、自分が納得できるような品種を栽培できないことに、常にもどかしさを抱いておりました。そして、彼女のバラに 対する並々ならぬ情熱は、自分が納得できる品種を育成する決心をさせるに至りました。
彼女の名前はローザ(Rosa)であり、彼女自身、彼女の存在理由もバラと共にあると信じ、バラの専門家以外になることは考えもしなかったのです。 彼女はデンマークでバラの育種家として産声を上げてから、一代でローズ・フォーエバー・ブランドを世界で確固たる存在にまで昇華させた、現在進行形の伝説の育種家なのです。
Rosa Eskelund (ローザ・エスケルンド)
ローザは、日々の喧騒の中から時折飛び出して世界各地の美しい場所を訪れたり、また、その場所に思いを馳せることで自身の想像を掻き立て、 新品種を生み出すきっかけにしています。
バラは彼女の情熱の源であり、素敵なバラに触れることは彼女にとって最高の息抜きとなっています。毎年夏には、仕事の合間を縫って、ガーデンローズ生産者や、 ヨーロッパ各地のバラ園を訪れます。素晴らしい庭園を訪れ、美しいバラを鑑賞することで、新品種開発に関するアイデアが泉のように どんどん湧き出してきます。彼女は常日頃周りにも公言し、自分自身にも言い聞かせています。
仕事にストレスを感じるのではなく、バラと共に仕事ができることを喜び、それを心から楽しむこと・・・、その思いがローザによって世界を魅惑する品種を生み出 し続けるために不可欠な要素となっています。
また、彼女は、常に新たなものを創造するためには、自身の心を平穏に保ち、不安を抱えないということが大切であると述べてます。
「最近、人々にとって、きれいで、のどかな環境で長期間過ごすことは、贅沢な望みとなりつつあります。私にはヨーロッパ中に好きな場所がありますが、 ここデンマークの海の上に存在する、育種温室もそれらの場所に劣らず、景色が素晴らしい小さな漁村にあります。ここでは時間が経過しても、全てのものが穏やかで静寂に包まれています。」
このように、静寂に包まれながら、大好きなバラに囲まれるデンマークの育種温室は、彼女に溢れんばかりの想像力を掻き立て、日夜彼女に情熱を注ぎこむ、彼女にとって新品種を生み出 す最高の環境となっています。
ローザとバラ達
みんなが帰省するオフシーズンには、休暇を取って、好きな南ヨーロッパ各地に出かけ、夫と一緒に長い時間ビーチで過ごすこと が彼女のなによりの楽しみとなっています。ビーチで過ごし、静かな波の音を昼夜聞きつづけることで、自然と彼女の中に新品種に関する新しいアイデアが湧き出てきます。
多くのローズ・フォーエバーのポットローズは、彼女が感銘を受けた、美しい場所の地名にちなんで名づけられています。
「ローズ・フォーエバーの全ての新品種は、私がリラックスして、私の心に静寂が訪れたときに、品種に関するイメージが浮かんできます。万物は一つの“ひらめき”から始まり、 私の中の想像が掻き立てられることで、仕事がテンポよく進み、美しいバラ達が続々と生み出されます。人々がそれを聞くと、容易くやっているように聞こえ、本当は陰で苦心 しているのではないかと訝しがるかもしれませんが、仕事を楽しみながらやっていると、それは私にとって真実(現実)になると信じております。」とローザは述べております。
育種技術は数年も修行すれば身につきますが、生み出される膨大な数の品種を育成し、選抜していく感性は育種家ごとの感性に強く左右されます。ゆえにバラの愛好家のみならず、 バラに魅入られる人々は、育種家の想いに共感し、ファンであることが多いともいえます。ローザの品種を愛する人たちも、彼女がバラに抱く思 いや、世界観に共感し、彼女の目線に沿って生み出され続ける品種にほれ込んでいるともいえましょう。
育種で生み出される品種